赤ちゃんと親の成長 ー プロセスを大事にして ー
毎回好評いただいている「ベビーマッサージ教室」! 講師に森下 先生をお迎えして私住職(お坊さんパパ)と森下先生とのコラボでお母さんたちとと赤ちゃんたちにお寺で過ごしていただく。最初に私がお経を読んでいる途中に、お母さんと赤ちゃんにお焼香をしていただく。その後、私の講話。それから先生のベビーマッサージ教室へと進んでいく。
教室の間は私はしばらく退席して教室の終わりに顔を出させてしていただく。お母さんたち赤ちゃんたちが心身共にほぐれている(解放されている)のがわかる。大きな本堂の中で仏様に見守られて、みなさん安心しきっていらっしゃる。私は赤ちゃんの姿を見て拝ましていただく。(赤ちゃんが畳の上に坐るっている姿は仏の姿と言われるからだ。)仏の子らを見て手を合わさせていただき、私自身も安らぎの空間を共有させていただく。
そんな赤ちゃんたちも数ヶ月、1年が経過すると親に抱かれるのが当たり前となり、歩けるようになっても親から抱っこをねだる。そこで、先日小児科医の横地先生が抱っこ「抱き癖」について話をしてくださった。ここで紹介したい。
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「抱き癖について」by やまびこ小児科クリニック 院長:横地真樹先生
先日1歳の女の子のお母さんより、「子供が抱っこをせがんで来たら、抱っこした方がいいのでしょうか。抱っこしない方がいいのでしょうか」という相談を受けました。
ママ友からは「子供は泣いていてもそのうち諦めるから、抱っこしない方が楽でいい」と言われ、祖母からは「甘やかすと抱き癖がついて困るから、抱っこしない方がいい」と言われるそうです。
でもそのお母さんは、自分の感覚では抱っこした方がいい気がするし、何より抱っこしてあげたいから本当は抱っこしたい、とのことでした。
僕は抱っこをするのは何も問題ないと考えています。
子供が抱っこをせがむのには、二つの理由があると思います。
寂しくなった、不安になった、疲れたから歩きたくない、妹や弟ばかり抱っこしているから私も同じ事をしてもらいたい、といった自分の中の問題を解決したいという理由と、自分を認めてもらえるか確認したいという理由の二つです。
子供は心身ともに未熟なので、問題を自分で解決できない場合はお母さんにお願いします。
その願いを受け入れてもらえれば「自分を認めてくれた」と安心しますが、受け入れてもらえなければ、「自分を認めてくれなかった」と不安になります。
不安の矛先を自分に向けて、自分がだめだからなんだと自己否定するかもしれません。
不安の矛先を弟や妹に向けて、兄弟に意地悪をするかもしれません。
不安の矛先を親に向けて、もっと無理難題を要求して困らせるかもしれません。
小さい時の要求は「抱っこして」ぐらいですが、年齢が上がるにつれ要求も大きくなって行き、
最後には「高級車を買って」「マンション買って」となるかもしれません。
一日中抱っこしているのも辛いところがありますが、でも子供は安心し満足すると、自分から降りていきます(個人差はあります)。
子供は大人の会話は聞いて理解していますので、「抱っこするから少し待っててね」と話をすれば待つ事ができます(個人差はあります)。できない場合は、今までにいくら待っても抱っこしてもらえなかった経験があるのかもしれません。
抱き癖がつくと、自立できなくなるという事はないと思っています。
子供にとって絶対的存在であるお母さんに自分を認めてもらう事で、自分は大丈夫なんだと自信がつき、早く自立できるようになります。
自分を認めてもらえないと、自分はだめなんだと自信がなくなり、自立も遅れます。
但し、極端にしなくてもいいと思います。
お母さんがどれだけ辛くても抱っこせねばならないと「ねば」に縛られるとストレスになり、結局子供にプラスになりません。
「抱っこして欲しいのにしてくれない」という想いを経験できていると考えれば、泣いている我が子をだっこせずに用事を優先させる、という事もありだと思います。
抱っこするしないの間のどこを選ぶのかは、その都度自分で選んでよいのです。
このお母さんの「抱っこしてあげたい」という想いは大切にして頂き、どんどん抱っこして認めてあげれば、自分から「もう大丈夫」と抱っこをせがまなくなる日が来ると思います。
親としては寂しいのですが、子供にエネルギーを与える事で自立を促す事は親にしかできないので、その役割を十分果たせばよいと思います。
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抱っこも赤ちゃんの成長のプロセスです。今、赤ちゃんとどう向き合い寄り添っていくかはお父さんお母さんが「今」しかできないことです。その時間を大切にしていただきたいものである。合掌、